2008年8月20日 (水)

判決

今日福島の大野病院の判決が出ました。

この事件がきっかけで産科医が激減

したとのことで、医療界だけなく、一般の方

の関心も非常に高いようです。

この顛末を読むとなぜ産科医が激減

するのか非常によく理解できます。

恐らく、「医者は恵まれてる」と思っている

方々も「でも産科医だけはなりたくないな」と

思うでしょう。

じゃあ、歯科医はどうなんでしょう。

「歯科医はもうだめだ」と言う方は多いですが、

この「ダメだ」は経済的にダメだということであり、

じゃあ、その経済的にどれくらいダメかといっても、

生活できないほどのものではないわけです。

ならば多くの歯科医が持っている閉塞感はなんでしょうか。

もちろん、訴訟のリスクや患者さんの要求の高まり

はあります。しかし歯科の場合、インプラントや矯正

などむしろ訴訟やクレームのリスクの高い治療に

自ら飛び込んでいく傾向さえあるのです。

それでも私はこの産科医の問題と歯科の

問題は本質的には同じことが原因だと思っています。

それは「必要な医療を必要な時に必要なだけできる」

という、本来医療に最も必要な原則の欠如、

すなわち医療者、患者双方の安心感の欠如です。

これが今の日本の医療崩壊の

本質的な原因ではないでしょうか。

2008年7月25日 (金)

歯科医師の常識

技工士学校が危機的な状況にあるのは、

ずいぶん前から言われていますが、

歯学部、歯科大学も負けず劣らず

かなり危機的な状況のようです。

(詳しくはコチラ

大学の偏差値は加速度的に落ち続け、

中には中学の学力程度もない学生が

合格しているケースもあるようです。

以前に「歯科医師が増え続けるのは魅力がある

職業だから」とある見識者に言われた

ことがあります。「本当に怖いのは、

歯科医師の成り手がいなくなった時」

とも言われました。

今が正にその状況ですね。

どの業界にもそれぞれの「事情」があります。

業界内の「常識」もあります。そしてそれは

往々にして世間には「非常識」であり、

ほとんどの場合が「悪しき習慣」と言われます。

今、歯科医師と話をすると、ほとんどの人が

「酷い状況だ。なんとかせねば。」

「国民にとっても不利益だ。」

「国の医療費削減は酷すぎる」

と、言います。しかし、そのことで色々

質問をすると、驚くほど医療制度、医療経済、

この国の行政の中身を知りません。

知っているのは自分の医院の経営状態と、

歯科業界の「事情」や「常識」だけです。

全く世間に通用するものではありません。

本当に国民に不利益なことはなんでしょう?

歯科医師という仕事の魅力がなくなっていく

本当の理由はなんでしょう?

歯科医師はそれを知る努力からはじめるべきでは

ないでしょうか?

それが、歯科界の未来を変えるはじめの一歩ではないでしょうか。

2008年7月 7日 (月)

お知らせ

今回はお知らせです。

以前にブログにも書いた船井総研との対談記事が

Dentalismという雑誌に掲載され、全国5万以上の

歯科医院、技工所にCiメディカル

のカタログと共に発送されたそうです。

Dentalismは歯科業界のニュースや情報を今までに

ない切り口で発信するというコンセプトで創刊した

フリーペーパーです。Ciのカタログと同封されているので、

ぜひみなさん読んでみて下さい。

2008年6月25日 (水)

シーソーゲーム

おかげさまで勉強会と一般の方との

意見交換会を無事開催することが

出来ました。ありがとうございました。

満員御礼の中、活発な意見が交わされ

非常に有意義だったんですが、そこで

私はあることに再度気づかされることに

なりました。

それは「保険点数というのは振り分けれらてる」

ということです。「今更なんのこっちゃ?」と

思われるかもしれませんが、それを再度確認して

愕然としました。つまり私たちがいくら「この再診料じゃ

まともな感染予防はできない」と言って、再診料が

上がったとしても、今度はその分どこかの処置だか、

検査だか、まぁ頻度も考えながらですが、減らさせる

わけです。今回の意見交換会でも一般の方が

「歯科がこんなに酷いことになっているとは驚いた、

ぜひちゃんとした診療報酬にすべきだ」と言って

くれましたが、それは医療費の総枠を広げるべき

ということではなく単に「歯科は大事」と認識して

くれたに過ぎないわけです。もちろん、それはそれで

素晴らしいんですが、その方が今度は他の科の

酷さを知ればやっぱり「なんとかしよう」と思うでしょう。

問題はこれが全てにおいてシーソーになってることなんです。

つまり産科や小児科が手厚くなれば、眼科、皮膚科、歯科

がへこむ。歯科の中でも指導が手厚くなれば、処置がへこむ。

これでは何の解決にもならないのではないでしょうか?

慶応大学の権丈教授が「医療の見積もりを出すべき」と書かれて

ますが、正にその通りで、それを出した上で

「だから医療費総枠はこれだけ必要」と訴えるべきなのでしょう。

そしてその為には多くのデーターの収集と納得させる

根拠が必要となるでしょう。それを多方面で

協力し合い蓄積し、みんなでこのアホらしい

シーソーゲームをやめさせようではありませんか。

2008年5月28日 (水)

もったいない

ある雑誌の創刊号の企画で船井総研とみな歯科との

対談をやりたいとの依頼があり、先日都内のホテルに

行って来ました。私は歯科の経営コンサルタントいうのは

「保険はもうダメです。自費を増やしましょう。需要を

掘り起こしましょう。患者のニーズを掴みましょう」

と同じことを言うだけだと思っていましたので、

あまり良い印象はありませんでした。

ですから雑誌社の方には「みな歯科の代表として

対談するんだから、船井さんをヨイショしたりの提灯記事

ならお断りです。むしろ対決姿勢を全面に出したものは

どうでしょうか?」と進言しました。「もちろんそれで結構です」

という返事をもらいましたで、鼻息も荒くガチガチに構えて対談

に臨みました。

しかし今回のコンサルタントの方に限って言えば、良い意味で

完全に期待を裏切られました。対談の中身については、雑誌を

見て頂くとして、印象に残った会話をここでは紹介します。

「患者さんと歯科医師とコンサルタントは同じ目的、目標

があるはずなのに、場合によるとお互いを敵対視する

ことさえある。医療においてはそのまま市場経済を

持ち込めない分野であるから、尚更この3者の

協力が必要となる。歯科医は医療の価値を知らせる必要が

あるし、患者さんは医療の価値を知る必要がある。そして

コンサルタントはそれを円滑に回るようにする立場にある。

そういう意味からもこの3者が協調し合い

今の歪んだ医療制度を是正することが、実は一番重要

なのではないか。

お互いがお互いを知る。そういうものすごく基本的なことを

していないから、おかしくなるのではないだろうか」

「どうせ、患者にはわからない」

「歯科医は自分の利益しか考えない」

「コンサルなんて金儲けの仕方しか知らない」

もったいない。

実はみんな同じ目的をもってるかもしれないに、

お互いがお互いを知ってもらおうとも、知ろうともしない。

行政が好き勝手できるのはこういう構図があるからでは

ないですかね。

医療の現場にある問題を医療に関わる全ての人が真剣に

解決していこうと協調できるはずなのに。

そんな単純なことをしないなんて

実に「もったいない」と思いませんか?

2008年5月 9日 (金)

松竹梅

物には多くの場合「松竹梅」がある。

食べ物や電化製品、乗り物や宿泊施設にも。

これらは付加価値や、「より快適」ということで

差が付いて当然とも思えるが、これが医療

だったらどうだろう。

入院中の病室を「より快適」に過ごす為に、

差額ベッド料というものがあるが、これは正確には

医療の中身とは関係ない。ただ、患者さんによっては

「個室だと他の人より良く診てくれる」「医者の態度が変わる」

と思っている人も少なくない。もしこれが本当なら医療の

中身が変わると言えなくはない。

つまり医療の「松竹梅」を他のことに転化させて、間接的に

差をつけるということだ。

しかし、ホンネはわからないが、それを認める

医師はほとんどいないだろう。

歯科ではどうだろうか。歯科では日常的にしかも堂々と

「松竹梅」がつけれられている。

それは主に補綴(入れ歯や差し歯)でだ。

「補綴は医療じゃないから」と言ってしまえばそれまでだが、

臨床の現場では補綴は普通に医療として扱われていると思う。

今、純粋に目の前にいる患者さんに必要な歯科医療を

施すとしよう。その中に保険適用外の治療が含まれる場合、

それを患者さんに説明し、それに必要な治療費を負担してもらう。

こう書けば、なんら問題がないように思える。

しかし、現実は違う。その治療が「必要か、必要でないか」ではなく、

補綴の保険診療は「梅」。

「松」がよければ自費。

という考えが歯科医師にも患者にもあるのではないだろうか。

それだけではない。自費の患者さんと保険の患者さんの

診療設備や感染予防を分けている歯科医院もあるし、

自費なら根菅治療※(歯の根の治療、歯の寿命を左右するためたいへん重要)

を丁寧にやるが、保険ならそれなり、と豪語する歯科医もいる。

これは転化以外のなにものでもない。

歯科はその性質上、自費での治療が存在するのは

仕方がないと思う。ただ問題なのは、自費が経営

を安定させる手段になっていること、もっとはっきり

言えば「自費患者が欲しい」という傾向が歯科界全体に

出ていることだと思う。これが続いていけば、

「保険は梅しか出来ない」と歯科の保険が形骸化していっても、

患者も歯科医も文句を言わなくなる。形骸化が言いすぎなら

「何かやっとけばいい程度」ということだ。

日本の歯科は医療なのか?

「梅から松まであるのが歯科」というのなら、それは

もはや医療ではない。歯科という技術と補綴物という

モノを売る商売ではないだろうか。

歯科医師は必要な医療を必要な時に必要なだけ

施すことが使命であり、それ以上でもそれ以下で

あってもならないのではないか。

歯科医が毎日の臨床で「松竹梅」を意識しなくなった時、

本当の意味で歯科は医療になるのではないだろうか。

2008年4月23日 (水)

日比谷宣言とは

この日比谷宣言は歯科医療従事者・患者・国民すべてに

向けた「宣言」であり、現在の会の方向性を示す集大成

といえるものだと思います。当NPO の提唱する4つの

キーセンテンスは、時代の流れや人の思想に左右されない

普遍的なものであり、私たちの意志でもあります。

これを軸として活動を続け、考え、提言を継続して行う

ための礎といえるものだと考えます。時代の流れとともに、

歯科医療側と患者側の関係や意識が変化しました。

そして、倫理・責務の在り方や情報開示についての議論も、

より活発化してきました。今後もこの動きは続き、やがては

普遍化するのではないかと思われます。

とかくこれらは無形な水ものともいえ、時とともに大きく

形を変えることも少なくないですが、倫理面やそれぞれの

オートノミーは時を経ても、相互の理解・信頼のもとに、

ほぼ共通のコンセンサスとして確立されるべきものでは

ないでしょうか。ならばこの会で、今の時点では試験的、

暫定的な形であるにせよ、内容のわかる明細書の発行や、

歯科総合オートノミーシステムの構築などとも併せて、

現時点での最善策と考えられるものを、都度世に問うていくことで、

情報開示や倫理面における流れに先鞭をつけ、

少々語弊がありますが、「先んずれば制す」、

「言われる前にやる」というように、何よりも一足先に動き出し、

提言し続けることに意味があるのだと思います。

続けるということは言うは易しで、楽なことではありませんが、

決して徒労に終わることはないと信じています。

Team T.S.T

2008年4月14日 (月)

結論

みな歯科をやるようになってあと数日で

丸二年が経ちます。本当に怒涛の2年間でした。

わずか数名だった会員も今では100名近くまで

になり、マスコミや他団体にも注目してもらえる

ようになりました。

みな歯科を創めたころは

「そんなことしても何も変わらんよ」とよく言われました。

最近は

「次は何をするかだね」と言われます。

そして、私自身も具体的にどう行動すべきか

を常に考えています。そのひとつの答えが

「市民の団体との連携」でした。来る6/22に

はじめて市民の団体の方々とみな歯科と合同で

意見交換会を開催します。ここを取っ掛かりに

消費者団体や患者団体とも継続的かつ定期的に

意見交換の場を持ち、ゆくゆくは医療制度の決定

プロセスに提言をする委員会を設立できればとの

目標をもっています。

じゃあ、今度はその目的が達せられたらなんと言われるでしょう。

「次はどう制度を変えられるかだね」でしょうか。

つまり結論はないんです。

私はみな歯科は結論をもたなくて良いと個人的には思っています。

結論を言いまわるのではなくて、ボールを常に投げ続ける。

それは歯科界に向けても、世間に向けても、行政に向けても。

そして結論は「この国、すなわち国民」が出すべきだと思っています。

2008年3月25日 (火)

たらい回し

最近感じることですが、救急病院のたらい回しの

報道がかなり医師に同情的になってきています。

以前は「医者はなにやってんだ!」的なものばかり

だったのに、この頃は「制度をなんとかしろよ、

医者もかわいそうだ」という論調に変わってきています。

これはむしろたらい回しがどんどん増えて「こんなに

どこでもたらい回しをするのは根本的な原因があるからじゃないか」

と国民が思い始めた「成果」ではないでしょうか。

これが意図的にやられているとはもちろん思いませんが、

歯科において、もし完全に保険のルールから逸脱せずに

日本の歯科医師全員が診療を行ったらどうでしょう。

自費の義歯が壊れても保険では直せんと言う。

歯の着色を取って欲しいと言われても保険ではできませんという。

「検診をお願いします」と言われたら保険ではできませんという。

などなど・・・

これを日本全国どの歯科医院も徹底してやった場合、

おそらくは患者さんから「この制度いいかげんにしろ」

と改善の声が上がると思います。

歯科医は非常に柔軟な生き物です。その時代、時代に

あった逃げ道を常に探し出します。そして自分の

患者さんは大切にしますが、抜本的にその制度を改善しよう

というところまでいきません。

しかし現在もう歯科医はギリギリのところまで追い詰められて

います。たらい回しはよくありませんが、歯科医療制度の

問題を浮き彫りにするためには歯科医は一度徹底して

ルールを守るしかないのかもしれませんね。

2008年3月12日 (水)

開かずの間

4月からの改定の中身が出揃いました。

「18年の改定よりはマシ」という声もありますが、

色々な問題点も指摘されています。

まず注目すべきは新規に導入された、

GTR法やレーザー治療でしょう。これが保険

に導入されることは「良いこと」だとしても、

その点数と運用の条件が頂けません。

あの低点数では今まで自費でやっておられた方は

落胆を取り越して、怒りさえ覚えているのではないでしょうか。

つまり保険に導入されたわけですから、保険医はもう自費では

できないのです。「それでも患者さんに安く良い治療ができる

ならいいじゃないか」という意見もあるでしょう。

果たしてそうでしょうか?コストを度外視した「出血大サービス」

は長くは続きません。その「出血」のために死んでしまうからです。

それだけではありません。いくら点数がついていても、その運用に

「厳しい条件」がついてまわるのです。

これでは「開かずの間」です。

「どうぞ使ってね」と言いながら、そこを開けるために

あちこちで許可を取らなくてはならないわ、

鍵はいくつも掛かってるわで、

「そこまでして使いたくないよ」と医療者から悲鳴が

あがっているのです。

患者さんが望んでいるのは「安全で安心で質の良い医療」です。

そしてそれをだれでも受けられるようにするために、日本の

保険制度はあるはずです。しかし現実は患者さんのためにも

医療者のためにもならず「兎に角あればいいんだろ」的なものに

なってしまっている気がしてなりません。

それを改定の度に感じるのは私だけでしょうか?

その上、厚労省は今年度から指導監査を格段に厳しく

すると明言しています。

さてさて開かずの間を無理やり開けると中から出てくるものは・・・・。

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